さくらブログ

【みつお便り】『心のブレーキ~私の教育観~』

こんにちは。
さくら幼稚園理事長の後藤光雄です。

2月18日(土)三重県総合文化センター大ホールで「子どものファンタジー」を行いました。
コロナ禍でやっと入場制限なしの開催で多くのご家族の皆さんに観ていただくことが出来ました。
先生手作りの舞台衣装に身を包んだ子どもたちの演技に多くの拍手をいただき、素晴らしい舞台となったことに感謝しています。
子どもたちの心にいろんな思いが芽生えて、また一つ成長してくれたことと、玄関でお見送りをさせていただきながら感じておりました。

さて、今月からさくら幼稚園ブログにて「みつお便り」というものを始めてみようと思います。
理事長として、だけでなく、父親として、日本人として、ひとりの人として、、考えや想いを言葉にしてみます。

お時間のあるときに、お読みいただけたら幸いです。
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「心のブレーキ~私の教育観~」

私は絵を描くことが苦手です。
好奇心も強く、なんでもやってみようと思う私ですが、絵を描こうとするときには、いつも心にブレーキがかかってしまうのです。

私は男3人兄弟の次男として育ち、いつも戸外で遊んでいたからではないと思うけれど、
小学生になっても、人を描くと小さい頭に四角い大きな胴体、そしてその筒のような胴から手と足が伸びているような絵からなかなか上達できませんでした。

ある日同級生に、その、まるで幼児が描くような人の絵を笑われたことがありました。
まさにこのとき『みんな上手に描くなー』と思っていた私は『僕は、絵が下手なんだ!!』と思うようになってしまったのです。

小学4年生の写生大会のとき、それでも私は一所懸命に立派な松の木を画用紙いっぱいに描きました。
絵筆を立てて、たたくように松の葉を描き、自分なりにその描き方と出来栄えに満足していました。
クラスで優秀作品を選ぶことになり、最後に私の絵と抽象的な風景画とどちらが良いかということになり、
私の作品は「写実的な絵は、しょせん写真にはかなわない」という訳のわからない言葉で退けられてしまい、
このとき以来、私は絵を描くことが『大嫌い!!』になったのです。

絵が嫌いになると、美術の時間も嫌になり、美術の先生までも好きでなくなり、
いつも自分に言い訳しながら、いいかげんに絵を描いていました。
本当は上手になりたい、一所懸命描きたいのに、どうしても心のブレーキを外すことができなかった
・・・いまだに・・・

「成長は積み重ね」
私は、保健体育の教員免許を取得して、幼稚園で子どもたちと体育遊びをしています。
自分の身体を思いのままに動かせるように、反射的に身を守れる能力を身につけてほしいと、
かつての私たちのように戸外で遊ぶ機会や変化のある自然の中での運動体験が少なくなってしまった子どもたちの為に、
知恵を絞って一緒に遊んでいます。

子どもたちは、多くのことを教えてくれます。
生まれてから今日までの積み重ねが今の姿であること、
たとえ誕生日が同じでも生活体験が同じ子が存在しえないこと、
みんなそれぞれに発達し成長していることを、
嬉々として、身体を動かしながら『個性』を訴えてくれます。

私たちは当たり前のように歩いていますが、
500もの筋肉、206本の骨、そして身体中に張り巡らされた神経と協調して『運動』が起こっていることを意識することはないでしょう。
初めて赤ちゃんが歩いたときは、
本人の驚きや感動以上にまわりの大人が大喜びをします。
しかし、子どもの成長とは、歩きはじめたときの感動を常に繰り返し、協調を積み重ねて、脳に刻み込んでいるのです。

「さぁ今日は跳び箱で遊ぼう」というと、「わたしできな~い」という子がいます。
跳び箱が目の前の障害なら、いろんな乗り越え方があることを、
跳び箱からウレタンマットに飛び降りる気持ちの良さを知ることも大切だと思うのだが、
『跳び箱=開脚飛び越し』がまるで正しい答えのように思い、『出来る・出来ない』に気持ちが動いています。

「前転できますか?」と問えば、殆どの大人も「できる」と言うでしょう。
では、マットの上での前転ではなく、平均台の上で、石ころにある運動場で、アスファルトの道でもできますか?

初めて跳び箱に面して、いきなり飛び越えさせようなどと考えてもいないのに『心のブレーキ』がかかってしまうことは、至極残念なことです。
身体を動かす喜びを積み重ねていってほしいと念じつつ、子どもの「動き」から何を学べるか。やめられない訳です。

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今回はお便りは、実は1992年に三重県教育委員会への報告書にて私が書いた文章です。
第一弾としてお届けしたい内容だなと感じ、ブログにおこしてみました。

今後も不定期に【みつお便り】をお届けしたいと考えています。
それでは、また次回。

後藤 光雄

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